【医師監修】口腔内のバランス崩壊! 歯周病+乾燥で、息を吐く度に強烈口臭が吹き荒れる!
口から食べ物が入ると、胃〜十二指腸〜小腸〜大腸(結腸)〜大腸(直腸)と運ばれながら消化・吸収され、最後に便として体外へ排出されますが、食べ物の入口である「口」と、便を排出する「直腸」には、同レベルに多くの細菌が棲んでいることはご存じでしょうか?
この『口腔内の細菌量』を増加させる大きな原因の1つが歯周病です。
歯周病菌は強烈な臭いを発生しますが、その臭いの成分には便臭と共通する成分が多く含まれるので、結果として便のような口臭が発生してしまうのです。
※出典/天野敦雄.長生きしたい人は歯周病を治しなさい.文藝春秋,2021,p.13より一部改変
この記事では、口臭を強める『歯周病』と『口腔内の乾燥』の関係について、詳しく解説します。

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●この記事を書いた人●
グリーンハウス株式会社
直田亨ライター歴10年。出版社で10年、病院広報で10年勤務後、健康食品業界に転職。
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目次
歯周病が放つ強烈口臭が日本列島に吹き荒れる
日本人の80%は口臭の原因・歯周病を患っているという事実
そもそも、歯周病に罹っている人はどれくらいいるのでしょう?
厚生労働省の調査(※)によると、日本人成人の5人に4人(80%)は歯周病に罹患しているという結果があります。しかし、これだけ多くの日本人が歯周病を患っているにも関わらず、どこか“自分ごと”として捉えていない人が多いのが実状です。その理由として考えられるのは、「歯周病=高齢者」というイメージが強いからではないでしょうか。
しかし、実際には日本人の20代で7割、30〜50代で8割、60代で9割もの人が歯周病を患っているという調査結果が。この結果から、歯周病は決して高齢者だけの病気ではなく若い頃からケアするべき「国民病」といっても過言ではないのです。
本人だけが気付かない!? 外国人が指摘する日本人の“口臭汚染”
多くの日本人に歯周病の自覚がない一方、在日外国人へのアンケートでは実に72%もの人が「日本人の口臭が気になった経験がある」と回答しています。この原因として考えられるのは、口腔ケア、とりわけ歯周病に対する国内外の意識の差です。
日米で重篤な歯周炎患者の割合を比較した調査(※)では、歳を重ねるにつれて、日本人に重度の歯周炎患者が増えています。この結果からも、日本人が思っている以上に歯周病の悪化が口臭に影響していることが見て取れます。
※出典/歯周病の地球規模の疫学とリスクファクター 図 5 重篤な歯周炎患者の年齢別割合の日米比較
「治療」か「予防」か 歯周病に対して意識の差
日本人は、パーソナルスペース(他人が自分の周囲に入ると不快に感じる心理的な空間)の距離が欧米人に比べると広いといわれています。また、人前で大きな口を開けて笑うのははしたないという国民性もあって、口腔ケアの必要に迫られる場面が少ないために口腔ケアへの意識が疎かになることも多いのです。
一方、欧米人はハグなどの挨拶によるスキンシップで、他人との距離が近づく場面が多いために、日本人に比べると口臭を含む臭い全般への評価が厳しいとされています。とりわけ、口臭や歯の黄ばみについては自己管理の判断基準とされ、仕事への評価にさえ繋がってしまうともいわれています。
また、日本国内の充実した医療保険制度による弊害もあります。日本では全ての国民が保険に加入しており、治療費の1〜3割程度で受診できることから「歯は痛くなったら治療すればいい」「痛みがなくなれば歯医者に行かなくていい」「歯医者はむし歯を治療する場所」という意識が根強く残っています。一方、欧米では保険に加入できない人も多く、治療費は高額になりがち。症状が悪化してから治療費が高くなるよりも、「定期的に歯医者に通って予防する」方が結果的に割安になるという意識もあるのです。
想像以上に日本人に蔓延していて、症状が悪化すれば、便臭のような口臭を伴ってしまう歯周病ですが、歯周病がさらに最悪の口臭を招く要因として、口腔内の乾燥が挙げられるといいます。これは一体どういうことなのでしょうか。
歯周病 + 乾燥=負のスパイラル!! 菌を増やす歯周病
歯周病発症のきっかけとは
歯周病発症の主なきっかけは「歯の磨き残し」というありふれたものです。毎日の習慣の積み重ねが歯周病を引き起こすため、まさに生活習慣病といえるのです。
口腔疾患に関する国際的な研究プロジェクトによる2025年の調査(※)によると、主要な口腔疾患(未治療のう蝕、重度の歯周炎、無歯症、その他の口腔疾患)に罹患していたのは、全世界で 36億9000万人。中でも、未治療のう蝕(虫歯)と並んで数が多かったのが重度の歯周炎、つまり『歯周病』です。
2001年版ギネスブックには「世界で最も一般に蔓延している感染症」とされているほど多くの人が患っている歯周病は、まさに「人類の常在感染症」ともいえる規模なのです。
歯周病を悪化させる3種の悪玉菌
歯周病は、悪玉菌が歯茎に炎症を起こし、歯を支える組織をゆっくり破壊する感染症です。これらの菌は嫌気性菌(酸素を嫌う菌)のため、酸素の少ない歯周ポケット内で増殖し、たんぱく質を分解して便臭と同じ口臭成分である硫化水素(H₂S)やメチルメルカプタン(CH₃SH)、ジメチルスルフィド(CH₃S CH₃)などを含む揮発性硫黄化合物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)を生成します。
さらに、「レッドコンプレックス」の存在が明らかになったことで、『バイオフィルムの高病原化』も歯周病発症・進行のきっかけであると突き止められました。歯周ポケットからの出血で、血液からたんぱく質と鉄分が豊富に供給されることで、P.g.菌などの嫌気性・たんぱく質分解型の細菌が活性化。バイオフィルムの病原性が高まり、歯周組織の防御機構とのバランス(恒常性)が崩れたとき、歯周病は発症・進行するのです。
バランスが破綻する要因
歯周ポケットからの出血で栄養を得た菌の活性化による『バイオフィルムの高病原化』以外にも、歯周組織のバランス(恒常性)が破綻する要因は考えられます。
要因1.ストレス
慢性的なストレスは交感神経を優位にして、唾液分泌を減少させて免疫機能を抑制します。これによって歯周病菌に対する防御力が低下、炎症が悪化しやすくなるのです。また、睡眠不足や暴飲暴食などの不規則な生活によってもストレスが生じて、抵抗力の低下につながってしまいます。
要因2.全身疾患
糖尿病や心血管疾患、免疫疾患などの全身疾患は、歯周病の進行と密接に関連しています。特に糖尿病では、血糖のコントロール不良によって白血球機能が低下するために、歯周組織の炎症や破壊が促進されることが分かっています。歯周病管理には全身疾患の管理と連携したケアが不可欠なのです。
要因3.遺伝
歯周病には遺伝的要因も影響します。炎症反応や免疫機能に関連する遺伝子多型がある場合、そもそも細菌感染に対する抵抗力が低い傾向にあります。
要因4.喫煙
生活習慣の中で、喫煙は歯周病の進行に最も悪影響とされています。タバコに含まれるニコチンや有害物質は歯肉の血流を減少させて、酸素や栄養が届きにくくなるため、歯周組織の修復能力が低下。また、免疫細胞の機能を抑制して、歯周病菌に対する防御力を弱めてしまいます。さらに、歯への沈着汚れによってプラーク中の病原菌を定着させてしまうため、喫煙は歯周病の大敵ともいえます。
菌を増やす口の乾燥
口腔内の菌が増えることによって引き起こされる強い口臭ですが、その菌の増殖を助けるのが『口の乾燥』です。
唾液が乾く口呼吸
『口の乾燥』を招く大きな要因の1つは口呼吸。口呼吸が習慣化すると、 唾液が蒸発→細菌は増殖→舌苔が増加して歯周病悪化→口臭が増大→口臭によるストレスでさらに唾液が減少する という悪循環に陥ってしまいます。 子どもの口臭の原因は、習慣化した口呼吸にあることも多いのです。
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日本口臭学会副会長 樋口均也
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無意識に分泌して、常に口腔内を潤してくれる唾液ですが、実は口臭予防の観点でも重要な役割を果たしているのです。
口臭を防ぐ唾液パワー
自浄作用
唾液には、口腔内の食べかすや剥がれた粘膜細胞を洗い流す作用があります。これにより、口腔内の有機物が減少。嫌気性菌である歯周病菌の増殖が抑えられます。
酵素・抗菌成分による抑制
リゾチームやラクトフェリン、免疫グロブリンA(IgA)等の抗菌成分が含まれるので、口腔内の病原菌や嫌気性菌の増殖を抑制して、揮発性硫黄化合物(VSC)の生成を減少させます。
pH緩衝作用
酸やアルカリを中和する緩衝作用があります。口腔内が弱アルカリ性に保たれることで、歯周病原菌の活性が抑えられます。
潤滑・乾燥防止
口腔内が常に唾液で潤うことで、唾液の自浄・抗菌作用が働いて、口臭抑制につながります。
薬の副作用による口の乾燥
意外と見落とされがちなのが、別疾患の治療薬による副作用である『口の乾燥』です。
高血圧・心疾患/アレルギー・花粉症/精神神経系疾患/脳卒中・パーキンソン病/便秘・胃腸疾患などの治療でごく一般的に使用される薬の副作用として、『口の乾燥』があらわれます。
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日本口臭学会副会長 樋口均也
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病気の治療のためには必要な薬ですので、基本的には服用を続けつつ、対処法として口腔内を潤す生活習慣が必要となるでしょう。
歯周病と口腔乾燥のケアで口臭対策の最前線!
歯周病菌などの嫌気性菌が乾燥を契機に増殖すると、口臭は激化してしまいます。
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日本口臭学会副会長 樋口均也
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歯周病に罹ると「歯周病菌ピラミッド」の形成は不可避ですが、その悪化は止めることができます。
改善には、「予防」する意識と徹底した抗菌&潤い対策が必要です。
キーワードは2人のかかりつけ。
歯周ポケットの清掃や歯周ポケットの深さのチェックなど、自身ではできないケアを定期的に行うことが大切です。長期に渡って自分の口腔状態を診てくれる『かかりつけの歯科医院』を持ちましょう。
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日本口臭学会副会長 樋口均也
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歯医者は
「治療」するところ
↓
「予防」するところ
という意識の変化が大切です!
日頃から、自身の口腔内の状態を良好に保つ意識が大切です。様々な全身疾患にもつながる口腔内の『健口』を保つことは、健康寿命延伸の秘訣となります!
食品
歯茎のコラーゲン合成や抗酸化作用・抗菌作用など、体内から口臭改善に作用する食品を摂ろう。
また、虫歯菌や歯周病菌を抑制して善玉菌の増殖を助けてくれる、食物繊維やオリゴ糖の摂取も大切です。
歯みがき
口臭をセルフケアする基本の「キ」。新たな機能を持つアイテムを手に入れましょう!
・デンタルフロス 糸で歯ブラシが届かない歯間の歯垢にアプローチ。
・歯間ブラシ 歯ブラシが届かない歯の隙間も丁寧に磨ける。
・マウスウォッシュ 口腔菌を減らす補助的商品。歯みがきの代用にはなりません!
・歯みがきジェル 抗菌作用や、潤い成分配合の歯みがきジェルも有効です。
唾液マッサージ&体操
唾液腺マッサージ
抗菌作用があって、口内を潤してくれる唾液をしっかり出していきましょう。
①耳下腺 親指以外の4本で、上の奥歯あたりを後ろから前へ10回ゆっくり回す。
②顎下線 耳の下から顎下の骨の内側までの5カ所ほどを1カ所につき5回親指で押す。
③舌下腺 両手親指で、顎下から舌を押し上げるイメージで10回押す。
あいうべ体操
口周りの筋肉を鍛えて、口呼吸改善や唾液の分泌促進を目指します。
1セット10回で1日3セットが基本ではありますが、無理せず継続しましょう。
※みらいクリニックHPを改変
まとめ
いかがでしたか?
8割の日本人が罹患しているといわれる歯周病の主なきっかけは「歯の磨き残し」。つまり、日々の積み重ねが引き起こす、正に生活習慣病です。口腔の乾燥を筆頭に、いくつかの要因で増大してしまう歯周口臭ですが、上手にコントロールして悪化を防ぐことは可能です。
キーワードは『2人のかかりつけ』。
歯科医院は「予防」するところという意識を持って、定期的なプロのケアを受けましょう。ただし、それだけでは足りません。あなた自身があなたの口腔の「かかりつけ」となり、日頃から口腔ケアを意識することが重要なのです。
プロのケア+セルフケアで万全の口臭対策を!

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●監修者●
日本口臭学会副会長
樋口 均也
医療法人慶生会 ひぐち歯科クリニック理事長■経歴■
大阪府茨木市のひぐち歯科クリニック院長。大阪大学歯学博士。
口臭治療のスペシャリストとして約30年間口腔診療に従事。
テレビ・新聞・雑誌等多くのメディアに出演・解説・執筆の経験を持つ。
■資格・所属学会■
日本口臭学会 口臭指導医
厚生労働省 臨床研修指導医
日本中医学会中医学認定医
日本いたみ財団いたみ専門医
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