子どもの口臭、どれくらい気になる?20年前の大規模調査から見えた実態
「うちの子、なんだか口がにおう気がする…」と感じたことはありませんか?
実は子どもの口臭には、生活習慣や口腔内の状態など、さまざまな原因が隠れています。
口臭は大人だけでなく子どもにも起こる身近な問題であり、家庭内でもしばしば気にされるテーマ。
特に子どもの口臭は、本人も周囲も気づきにくいことが多いため、保護者の視点からの実態把握が重要となります。
今回は、2001年に明海大学で実施された300人の小児を対象とした口臭調査の結果を、グラフを中心にわかりやすくご紹介します。
この調査は20年以上前のものですが、子どもの口臭の基礎的な実態を理解するうえで有益なデータといえるでしょう。
ただし、時代背景や技術の進歩なども踏まえたうえで解説しますので、現代の状況との違いも意識しながらお読みください。
※なお、この調査は2002年に実施されたものであり、現在とは状況や意識に違いがある可能性も考慮する必要があります。
※出典:吉田美香子, et al. "小児の口臭に関する研究 アンケートと口臭測定." 小児歯科学雑誌 39.3 (2001): 694-703.
300名の子どもを対象に実施!口臭調査の知られざる調査方法とは?
本調査は、明海大学歯学部付属病院小児歯科外来を受診した年齢9カ月~17歳3ヵ月の患児300人(男児159人、女児141人)を対象に、口腔衛生状態について保護者記載によるアンケートを行ったものです。
アンケートでは、保護者が子どもの口臭についてどの程度気にしているか、どのようなタイミングで口臭を感じるかなどを尋ねました。
子どもの口臭、保護者の45.7%が「気にしている」と回答【実態調査】
アンケートの結果、45.7%(137人)の保護者が子どもの口臭を気にしていると回答しています。
このうち、口臭が気になり始めた時期として多かったのが3~4歳未満。その次が4~5歳未満、5~6歳未満となっており、幼児期に口臭が発生しやすい傾向がうかがえます。
朝が特に危険?口臭を感じやすい「時間帯」の秘密をグラフで解説
口臭を感じるタイミングについては、起床時が66.0%と圧倒的に多く、次が就寝前と一日中の5.3%となっています。
起床時に口臭が強く感じられるのは、睡眠中に唾液の分泌が減少し、口内の細菌が増殖しやすくなるためと考えられます。
このようなタイミング別の実態把握は、効果的なケアや予防策を考える上で重要な手がかりとなるでしょう。
子どもの歯みがき頻度と口臭の関係は?1日2回が最多
歯磨きの回数に関して尋ねたところ、最も多かったのが「2回」でした。その割合は54%と半数以上であり、就寝前(40.1%)と朝食後(33.7%)が高い割合を占めていました。
舌苔・歯肉炎は要注意!子どもに見られる「病的口臭」の特徴
子どもの口臭には、生理的な要因だけでなく、口腔内の健康状態が関係していることもあります。
今回の調査では、舌苔(ぜったい:舌の表面に付着する白っぽい汚れ)と歯肉出血の有無が、口臭の訴えと有意に関連していることが示されました。
特に、舌苔が認められた子どもでは、保護者が「口臭がある」と回答する割合が高く、口臭の主要因として舌の清掃状態が重要であることが明らかです。
舌苔は細菌の繁殖場所となり、揮発性硫黄化合物(VSC)といったにおい成分の発生源になり得ます。
また、歯みがきの際に歯ぐきから出血する子ども(=歯肉炎の可能性)でも、口臭を指摘されるケースが多いことが分かりました。
歯肉出血は歯周病の初期症状であり、細菌の異常増殖が起こりやすいため、においの原因となる物質が発生しやすくなります。
これらは「病的口臭」の特徴であり、単なる生活習慣の乱れではなく、口腔内に炎症や感染の兆候がある可能性を示しています。
子どもの場合は自覚症状が乏しいことも多く、保護者の観察と歯科での定期的なチェックが早期対応につながるカギとなります。
今と昔で何が違う?現代の子ども口臭事情と未来の調査に期待すること
近年の口腔ケア製品の進歩や食生活の変化などにより、子どもの口臭に影響する環境は大きく変わりました。
これにより、口臭の原因や頻度、保護者の認識も変化していると考えられます。
さらに、ストレスや生活リズムの乱れなど現代特有の要因も新たに加わっている可能性があります。
今後は、これら現代の生活環境を反映した大規模かつ多角的な調査が必要であり、デジタル技術を活用した客観的評価も期待されています。
こうした研究は、子どもの健やかな口腔環境づくりや口臭対策の指針となるでしょう。
まとめ:口臭問題を理解する第一歩に!子どもの口臭調査から見えたポイント
本記事で紹介した2001年に発表された小児口臭調査は、子どもの口臭の実態把握に貴重な知見を提供しています。
保護者の約半数が口臭を気にしており、起床時に口臭が強まる傾向や、歯肉出血・舌苔、生活習慣の影響が明らかになりました。
一方で、データの古さや技術的限界を考慮し、現代の生活環境や口腔ケアの変化と照らし合わせて解釈する必要があります。
今後は最新の調査データや技術を活用し、子どもの口臭問題に対してより効果的な対策を講じることが求められています。
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