便秘で「体臭がうんこ臭い人」に?原因と解消法を解説

朝食後にスルッと排便してすっきりした気分で1日をスタートさせていますか?

たかが便秘だと何日も放置している方も多いかと思いますが、実は便秘により腸内で増えた腐敗産物は、血液中に吸収され体内に循環し放出されることで体臭となってしまうのです。

嗅覚は順応しやすく、同じニオイを長時間嗅いでいるとそのニオイを感じなくなってしまい、自分で発生させている体臭に気付きにくくなってしまいます。

慢性的な便秘に悩んでいる方は自分の体臭に要注意かも?そこで便秘になったらなぜ体臭が強くなるのか、原因と改善方法を詳しく解説!便秘を解消し「体臭がうんこ臭い人」にならないために、自分の身体の状態をチェックしていきましょう。

  • 代表取締役 横尾一浩
  • ●この記事を書いた人●

    グリーンハウス株式会社

    代表取締役 横尾一浩

    15年以上に亘り、医師や専門家の方々と意見を交わしながら「臭い」を研究し、数多くの臭い対策サプリをつくってきました。その経験の中で得た「体臭」や「加齢臭」に関する幅広い知識を、読者の皆さんのために余すことなくお伝えいたします。


    執筆論文
    シャンピニオンエキス含有食品の摂取が健常者の口臭(呼気臭)に及ぼす影響

  1. 目次

    1. 便秘による体臭
    2. 便秘による体臭は女性に起こりやすい
    3. 便秘の分類
    4. 便秘が引き起こす症状
    5. 便のにおいの原因
    6. 善玉菌や悪玉菌が増減する原因とは?
    7. 便秘を予防する方法
    8. 便秘を解消する体操・マッサージ
    9. まとめ

便秘による体臭

便秘と体臭の関係について

「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています(※)。

便秘状態になるとビフィズス菌をはじめとする腸内の善玉菌が減少し、悪玉菌が増殖します。そのような状態になると腸内に有害物質がより多く生成され、大腸がんや肝臓がんのリスクが高まるだけではなく、この時に生じる腐敗産物が体臭や口臭の原因となります。

腸内でアンモニアやインドール、スカトールなどのおしっこやうんこの臭いを放つ悪臭のガスが生成され、便として排出しきれず腸から血液中に吸収された後に体内を循環し、皮膚や口から放出されます。

つまり便臭の元が体や口から出ることになるため、不快な体臭や口臭となるのです。

※:厚生労働省 e-ヘルスネット「便秘と食習慣」

腸内で生まれた悪臭のガスが原因の体臭や口臭は、内側から対策がベスト! >>今すぐ実践

便秘による体臭は女性に起こりやすい

便秘による体臭は女性に起こりやすい

厚生労働省の「平成28年度国民生活基礎調査」では便秘に悩む女性は全体の4.6%、男性は2.5%となっており、女性のほうが男性よりも便秘に悩んでいることが分かっています。女性に便秘が多い理由は、女性ホルモンの影響・筋力不足・無理なダイエットなどが考えられます。

特に便秘で悩む20代女性は10代女性の2倍以上に増加し、若年女性を対象とした研究では、朝食欠食や就寝時間の遅さ、食物繊維摂取量の少なさが排便に影響を与えたと報告されています。

女性に多い便秘ですが、男性も無関係ではありません。60代以降になると徐々に男性の便秘も増え始め、70代になると男女差はほぼなくなります。これは加齢により腸の動きが衰え、筋力が低下すためです。

また、子供の便秘も一定数存在します。学校のトイレが不慣れな和式になっていることや、排便することを恥ずかしいと感じ便意を我慢することなどが主な原因になっています。

便秘の分類

便秘には、大腸と大腸周辺の病気による「器質性便秘」と腸の機能低下が原因の「機能性便秘」があります。

器質性便秘

器質性便秘には大腸が狭められ通りにくくなることで便秘となる狭窄性の便秘、狭窄と関係なく排便回数が減少する便秘などがあります。病気が原因の便秘のため、食事等の生活習慣改善だけでは治すことはできません。

機能性便秘

機能性便秘には、食物繊維を含む食事の量が少ないなどが原因で若い女性に多い「大腸通過正常型」、原因がハッキリしない代謝・内分泌疾患、過敏性症候群などの「大腸通過遅延型」、骨盤底筋協調運動障害・直腸性便秘・腹圧の低下などによる「機能性便排出障害」があります。よって正しい病態の変化に応じた“便秘ケア”が体臭予防としても重要になります。

便秘が引き起こす症状

便秘は体臭や口臭の他にも、健康にさまざまな影響を与えることがわかっています。

肌への影響

便秘により有害物質が溜まることと自律神経の働きが悪くなる事により、体の血流も悪くなります。肌のターンオーバーサイクルに影響を与えることで、カサついたり老化につながるといわれています。また腸から吸収された有害物質が毛穴から出る際に、体臭だけでなくニキビや吹き出物を引き起こすこともあります。

生存率との関係

慢性的な便秘症がある人は、そうでない人と比べて15年後の生存率が12%低かったというアメリカの研究結果があります(※1)。

※1:Chang JY,et al.,Am J Gastroenterol,2010; 105(4):822-832

脳卒中や循環器疾患との関係

便秘と脳卒中や循環器疾患との関係を調査した研究において、排便回数が少ない人ほど脳卒中や循環器疾患での死亡率が高くなると報告されています(※2)。

※2:Kenji Honkura, et al.,Atherosclerosis,2016; 256:251-256

便のにおいの原因

便のにおいの原因とは

便から不快な臭いがする場合は、何らかの原因で腐敗産物=臭い成分が発生しているためです。では腐敗産物を発生させるパターンを紹介しましょう。

あまり噛まない

食べ物をよく噛まずにすぐ飲み込んでしまうと消化吸収されず、臭いの原因となる腐敗産物の材料となってしまいます。唾液に含まれるアミラーゼやリパーゼなどの酵素は、消化を助けるだけでなく口の中の雑菌を殺してくれます。よく噛んで、たくさんの唾液を出してから飲み込むようにしましょう。

ストレスが溜まっている

ストレスも臭いの原因になります。食べ物が飲み込まれて胃に入ると消化酵素ペプシンがタンパク質を消化します。ところがペプシンはストレスがあるとうまく分泌されなくなってしまいます。食べ物は十二指腸を通り、その先の小腸でほとんど消化吸収されるのですが、ストレスは小腸の動きにもブレーキをかけて「蠕動」を止めてしまいます。そうなると腸に便が留まる時間が長くなり、腐敗が進んで臭いも強くなります。

腸内環境が乱れている

腸内にビフィズス菌をはじめとする善玉菌が多い状態では腐敗産物が発生しづらいため、おならやうんちの臭いは気になりません。ところが善玉菌が減ってくると、悪玉菌が増えてきます。その結果、腸の中でまだ消化されていないタンパク質やアミノ酸が分解されてアンモニア・インドール・スカトール・硫化水素等などの腐敗産物を作り出し、いわゆる「うんこ臭い」悪臭が発生してしまいます。

体の内側から対策して、うんちやおならのような体臭を防ぐ方法 >>詳しく見る

善玉菌や悪玉菌が増減する原因とは?

加齢の影響

菌のバランスを左右する大きな要素は『年齢』です。腸の中の細菌数は加齢とともに移り変わります。生まれたばかりの赤ちゃんは無菌で、次第に大腸菌などの雑菌が棲みついてきますが、それを上回る勢いで善玉菌であるビフィズス菌が増加し、青年期頃まではしばらくビフィズス菌の優位が続きます。ところが中年期以降、悪玉菌の大腸菌・ウエルシュ菌などが増加します。歳を重ねるごとに便が臭くなるのは加齢により悪玉菌が増えて腸内環境が悪くなるからです。

食生活の影響

何を食べたか・日頃どんな食生活をしているか、それによって腸内細菌の勢力図「フローラ」がほぼ確定し、どんな臭いになるかが決まります。現代人の食生活は、肉類などの脂肪・タンパク質の摂取が中心で食物繊維が少なくなりがちです。野菜に含まれる食物繊維やオリゴ糖は、ビフィズス菌を代表としる善玉菌の育成に欠かせない栄養素なので、野菜不足が続くと腸内の善玉菌が減少してしまいます。

体調不良の影響

風邪や慢性の病気(胃潰瘍、糖尿病、肝臓病など)の時は、ビフィズス菌が弱まり、悪玉菌が増えてきます。便秘や下痢の場合も同様です。

便秘を予防する方法

便秘が原因の口臭対策

体から便臭をさせないためにも、普段から便秘を予防することが重要です。

食生活の改善

水分を十分にとる

のどが乾かないからとあまり水を飲まなかったり、加齢により食欲がなくなり食事の量が減ると、便が硬くなって便秘の原因になります。したがって便秘対策として今よりコップ2杯分(約400ml)を目安に増やしましょう。特に「目覚め」の1杯は消化管の動きを促進する効果もあるので、起床時にすぐ飲めるよう寝床のそばにペットボトルのお水を用意しておきましょう。

朝食をとる

朝食と便秘の関係は深いと考えられています。

帝塚山学院大学の研究によると、便秘ではない人のうち朝食をとらない人の割合は約20%でした。反対に便秘の人のうち朝食をとらない人の割合は約30~50%と、便秘ではない人の割合よりも高い結果が出ており、便秘の割合の増加と朝食をとらない人の割合は連動していることが分かりました(※)。

ダイエットは便秘の大敵ではありますが、どうしても体重をコントロールしたい場合はできるだけ栄養バランスを考慮し、朝食をメインに食べるのがおすすめです。

※:福田 ひとみ,松嶋 優子:大学生の食事状況・食行動と便秘状況,人間文化学部研究年報,7号,91-97,2005

発酵食品、乳酸菌をとる

発酵食品や乳酸菌には、腸内環境を整えて有益な細菌(善玉菌)を増やす効果があります。また、たまに摂取するよりも毎日継続して有効であると言われているので、毎日の食事に積極的に取り入れていきましょう。

食物繊維をとる

食物繊維には、不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維があります。不溶性の食物繊維は、腸のぜん動運動を促進したり、便の量を増やします。水溶性の食物繊維は、水分を保つ働きをして便が柔らかくなり排出しやすくなる効果があります。便秘対策として1日5gの食物繊維を増やしましょう。サラダやお浸しなどの野菜の小鉢は約2~2.5g前後なので今より2品増やすことが目安です。

運動の習慣化

運動をしない人より運動をする人の方が、便秘に悩む人の割合が少ない傾向にあります。

軽いジョギングやウォーキングなどの運動は腸を刺激して働きを高めてくれるといわれています。また、運動には自律神経のバランスを整えるリラックス効果もあります。腸の動きはリラックス時に高まるので、運動を習慣化するよう心がけましょう。

ウォーキングなら1日30分程度。軽く息があがる程度のスピードで歩くのが目安です。全身をバランス良く動かすことができ、天候に左右されず室内でできる「ラジオ体操」もおすすめです。

便意をがまんしない

便意を日常的にがまんしていると、徐々に体が便意になれてしまい、便意が起こりにくくなります。さらに、溜まった便は水分が腸に吸収されてどんどん硬くなってしまいます。便意を感じたらなるだけトイレに行くように心がけてください。

便秘薬を飲む

それでもやっぱり出ない。どうしても出したい。そんなときは市販の便秘薬を検討するのも手段のひとつです。

便秘薬は大きく分けて「刺激性下剤」と「緩下剤」の2つに分類されます。「刺激性下剤」は腸の動きを活発にする作用があり非常に強力ですが、依存性があり毎日使うと効果が低下するといわれています。「緩下剤」は便を柔らかくする作用があるもので、比較的自然な排便を促します。

※どちらも使い方を間違えると便秘を悪化させる可能性もあるので、必ず医師薬剤師の指導を受けるようにしましょう。

サプリメントを活用する

便秘薬を使うことに抵抗がある場合は、手軽に使えるサプリメントもおすすめです。サプリメントはビフィズス菌が含まれているものが多く、継続して摂ることで、腸内環境を改善し便通をサポートする効果が期待できます。

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便秘を解消する体操・マッサージ

お腹まわりを刺激する体操やマッサージは腸の働きを助け便秘解消につながります。ただし大腸のマッサージは内臓に働きかけるものなので、腰が悪い人、お腹に腫瘍や動脈瘤などの病気がある人、あるいは妊娠中の女性では悪影響を及ぼす恐れがあります。このような方は、必ず主治医にご相談ください。また、食後すぐやアルコールを飲んだあとは避け、夜寝る前や朝起きた後もしくはお風呂でマッサージを行うと効果的です。

上半身をひねる体操

体臭予防マッサージ 上半身をひねる

横行結腸と下行結腸の角を刺激することで便が通りやすくなるよう促進します。

(1)足を肩幅よりやや大きく広げ、背筋をピンと伸ばして立つ。
(2)両腕を左右に軽く広げ、肩の力を抜く。
(3)上半身を左右に90度ずつひねる。

反動をつけずに、ゆっくりと1分間ほど続けて下さい。上半身につられて骨盤が回ってしまうと効果が薄れるため、下半身は動かさないのがコツです。

左腹をほぐすマッサージ

便秘解消マッサージ 左腹をほぐす

腹部の左側にある下行結腸を刺激するマッサージです。脈動するものに触れることがありますが、それは大動脈なので押さないように気を付けましょう。

(1)腰の下にクッションなどを敷いてあお向けになり、ひざは軽く曲げる。
(2)両手の指を真っすぐ伸ばし「右手をヘソの左下」、「左手をわき腹」に当てる。
(3)左右交互に軽く押しながら少しずつ上に移動させる。左手が肋骨に当たったら、そのまま下に同じように移動させる。
(4)(3)を1分間繰り返す。

下腹部をほぐすマッサージ

便秘解消マッサージ 下腹部をほぐす

S状結腸を刺激するマッサージです。

(1)「左腹をほぐす」と同じくあお向けになる。
(2)両手の指を真っすぐ伸ばし「右手をおへその右」、「左手をおへその左」に当てる。
(3)手が恥骨に触れる位置から、左右交互に軽くお腹を押しながら上に向かって移動させ、手がヘソの高さまでいったら下に向かって移動させる。
(4)(3)を1分間繰り返す。

大腸を押し上げる

便秘解消マッサージ 大腸を押し上げる

大腸全体を持ち上げて刺激するマッサージです。

(1)「左腹をほぐす」と同じくあお向けになる。
(2)恥骨のすぐ上、左右の足の付け根に両手を当てる。
(3)お腹が少しへこむぐらいの力で、指先を立てて両手を揃え、お腹を持ち上げるようにしてヘソの下まで動かす。
(4)同じように右足の付け根に当てておなかを揺らしながら上へ動かす。左足の付け根も同様に行う。

まとめ

便秘と体臭の関係のまとめ

便秘は「便が硬い」「便を出しにくい」「便が残っている感じ」「お腹が張る」などの不快感だけではなく、うんこ臭い体臭の原因となることが分かりました。また近年の研究で、便秘は健康や寿命にも関係していることが明らかになってきています。

体臭・便秘対策には日々のケアがには不可欠です。食事・運動・ストレス解消・腸マッサージなどを日常生活に組み込んで、ご自身の腸と上手く付き合いながら体臭を予防していきましょう。

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