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グリーンハウス 新いいものみっけ4・5月号 │ 日本磁器のふるさと探訪 伊万里

日本磁器のふるさと探訪
伊万里

山水画のような奇岩がそびえ立ち、細い谷間に連なる窯元の風景。
ここは秘窯(ひよう)の里として知られる「大川内山(おおかわうちやま)」
江戸時代に佐賀藩鍋島家の藩窯があった場所です。
廃藩置県が行われる明治まで極めた技法は門外不出の窯場でした。
磁器の歴史とやきものの魅力に触れるため、佐賀県伊万里市を訪ねました。

山水画のような奇岩がそびえ立ち、細い谷間に連なる窯元の風景
知っておきたいポイント見出し 知っておきたいポイント地図

伊万里焼とは

佐賀県有田町とその周辺で焼かれた磁器は、江戸時代、伊万里の港から積み出されたことから「伊万里焼」と呼ばれました。国内はもちろん長崎を通じて海外にも輸出され、有名なやきものとなりました。

古伊万里と鍋島

伊万里焼のなかでも骨董として価値が高い、江戸期のものを総じて「古伊万里」と呼びます。 また、民間の窯と区別して、佐賀藩鍋島家の御用窯(藩窯)で作られたものは「鍋島」と呼ばれています。主に将軍家に献上、大名家に贈答するため、技術や意匠の絆がこらされ、日本最高峰の磁器として評価されています。

伝統を引き継ぐ伊万里鍋島焼

現在の大川内山では、鍋島の系譜を引き継いで「伊万里鍋島焼」と称しています。大きく「色鍋島」「鍋島染付」「鍋島青磁」に分けられます。

秘窯の面影が今もなお色濃く残る大川内山。

秘窯の面影が今なお色濃く残る大川内山。

福岡市から車で約90分、佐賀県伊万里市の奥深い山間に、大川内山があります。
1675年佐賀藩鍋島家は、やきものの技法がよそへ漏れないよう、険しい地形のこの地に有田から藩窯を移しました。入り口には関所を設け、有能な陶工たちを囲い込み、厳しい管理下のもとで磁器を生産。藩窯では将軍家への献上品や大名家への贈答品、藩主が使うものだけを作るため、採算を度外視した高品質のやきものが焼かれたそうです。

現在は観光用に関所の門があり、そこから唐臼小屋や陶工の墓をはじめ、ぐるりと歩いて散策を楽しめます。

現在は観光用に関所の門があり、そこから唐臼小屋や陶工の墓をはじめ、ぐるりと歩いて散策を楽しめます。

唐臼小屋

▲ 水の力を利用した大きな臼で、陶石(磁器の材料となる岩石)を細かく砕く「唐臼小屋」。

陶工の墓

▲ 朝鮮から渡来しこの地で一生をやきものに捧げ、無縁となった陶工らの墓標880余を集めてピラミッド型にした供養塔です。

鍋島藩窯坂を上り、登り窯へと向かいました。年に1度、この登り窯で焼かれるのが、平成元年から鍋島藩窯秋まつりの一環で行われている「鍋島献上の儀」で納められる献上品。藩窯の伝統と技法を守り伝える取り組みとして、すべて手仕事で仕上げた飾り壺を、全国の自治体などに贈っているとのことでした。

登り窯

▲ 風情がある登り窯。今では年に1度の「鍋島献上の儀」で納める献上品を焼くときのみ使用。藩窯時代の伝統を受け継ぎ、36時間かけて焼かれるそうです。

伊万里・有田焼伝統産業会館

▲ 「鍋島献上の儀」では壺が2つ焼かれ、献上品と同じ壺がここで鑑賞できます。

次に向かったのは、工房見学ができる「畑萬陶苑(はたまんとうえん)」です。職人さんたちの緻密な絵付け作業の様子をのぞかせてもらい、ショールームも見学。美しい色とりどりの器と匠な技は感動ものでした。

畑萬陶苑の工房見学

伝統の技法に裏打ちされた手作業を大切にしているそうです。

 伝統美と職人の技が光る、畑萬陶苑の美しい香水瓶。

▲ 伝統美と職人の技が光る、畑萬陶苑の美しい香水瓶。

息をのむほど繊細な作業に、見ているこちらが緊張。

▲ 息をのむほど繊細な作業に、見ているこちらが緊張。

江戸時代の大川内山と現在の様子を見比べてみました。

▲ 江戸時代の大川内山と現在の様子を見比べてみました。「山や川の配置はほぼ変わらず、描かれたイチョウの木は今も健在です」と、ボランティアガイドの前田さん。

「伊万里・有田焼伝統産業会館」では、絵付け体験にチャレンジ。旅の思い出に、世界で一つだけのオリジナルの器を作ることができました。


大川内山では
やきもの体験ができます

筆でゆっくり描きます。一発勝負なので少しドキドキ!

▲ 筆でゆっくり描きます。一発勝負なので少しドキドキ!

焼く前と後では、こんなに大きさが違うそうです!

▲ 焼く前と後では、こんなに大きさが違うそうです!

約30軒の窯元が伝統的な技法を継承しながらも、それぞれが独自のスタイルで個性豊かな器をつくっています。大川内山を巡り歩けば、お気に入りの器との一期一会がきっとあるはずです。

大川内山MAP

やきものの積み出し港として栄えた伊万里。

大川内山から車で約15分、伊万里の街なかへ。ここでは窯元の集積地である大川内山とはひと味違った、やきもの文化が息づいています。


栄えた伊万里。

▲ 相生橋の中央にあった「伊万里色絵菊梅文壺」(燭台仕立)。
ヨーロッパ貴族の間では器だけでなく、金をあしらった壺を飾るのが流行したそうです。

江戸時代に全国から陶器商人が買い付けに訪れ、賑わっていた伊万里。わずかに残る白壁土蔵づくりの建物や、磁器の人形、飾り壺・・・。伊万里駅前から伊万里川沿いの縁起橋をひと巡りするだけで、やきものの積出港として繁栄した歴史が感じられました。

白壁の土蔵が残る町並み。「海のシルクロード館」と「伊万里市陶器商家資料館 丸駒」です。

▲ 白壁の土蔵が残る町並み。「海のシルクロード館」と「伊万里市陶器商家資料館 丸駒」です。

伊万里からちょっと足を伸ばせば有田、波佐見、唐津など「肥前やきもの園」が広がっています。ショッピングはもちろん、やきもの鑑賞ができる施設や、器と食のコラボなど、さまざまな角度から肥前のやきものの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。


幸せを招くと言われる
3つの縁起橋

相生橋(あいおいばし)

相生橋(あいおいばし)

夫婦・恋人で渡ると仲睦まじくなれる。

延命橋(えんめいばし)

延命橋(えんめいばし)

健康を祈願しながら渡ると長生きできる。

幸橋(さいわいばし)

幸橋(さいわいばし)

最後に渡ると、夫婦・恋人が仲睦まじく長生きし、幸せになれる。

伊万里
GUIDE MAP

伊万里 GUIDE MAP

1. くすきの杜

くすきの杜

健康と美の増進、未病改善を目指す東洋医学的体験施設です。漢方相談、美容相談、高酸素ルームやよもぎ蒸しなどサロン体験もできます。

TEL : 0955-24-9033

2. 伊万里 鍋島ギャラリー

伊万里 鍋島ギャラリー

江戸時代に将軍家へ献上された鍋島焼などを展示。

TEL : 0955-22-2267

3. 海のシルクロード館

海のシルクロード館

1階はやきもの販売、2階には古伊万里に関するギャラリーがあります。

*陶芸体験:絵付け/ロクロ/手びねり(有料)
TEL : 0955-23-1189

4. 伊万里市陶器商家資料館
「丸駒」

伊万里市陶器商家資料館「丸駒」

白壁土蔵造りの建物を復元整備。陶器商人の暮らしを伝える資料館です。

TEL : 0955-22-7934

1. 伊万里・有田焼
伝統産業会館

伊万里・有田焼 伝統産業会館

伊万里鍋島焼、有田焼、鍋島、古伊万里の伝統的なやきものを展示。

*陶芸体験:絵付け(有料)
TEL : 0955-22-6333

2. 畑萬陶苑

畑萬陶苑

伊万里鍋島焼の窯元。製造工場とショールームを備えた直営店で、平日は工房の見学も可能です。

*陶芸体験:絵付け(有料)
*工房見学(無料/事前予約)
見学時間:9:00〜16:00 土日祝休TEL : 0955-23-2784

観光のお問い合わせ

(一社)伊万里市観光協会

TEL : 0955-23-3479

https://imari-kankou.com

伊万里市観光ボランティアガイドの会

大川内山や街なかの見どころなど、伊万里の歴史と文化に詳しいガイドが案内してくれます。(有料)

TEL : 0955-22-7934

畑萬陶苑

日本の磁器(※1)の歴史は、約400年前に朝鮮人陶工が有田に来て磁器の原料となる陶石を発見したのが始まりです。やがて磁器生産の技術は周辺地域に広がりました。それまで国内で作られていたのは陶器(※1)のみ。肥前の窯業が日本のやきものの歴史を塗り替えたのです。佐賀県・長崎県の8地域で栄えた「やきもの文化」が2016年「日本遺産」に認定されました。

肥前窯業の始まり

16紀末頃、佐賀県唐津市周辺で陶器の生産が行われていました。文禄・慶長の役の際に、肥前の大名が朝鮮人陶工を多数連れ帰り、生産地が拡大。その一人、金ヶ江三兵衛(通称 李参平)が1616年に有田へ移住後、泉山で磁器の材料となる上質な陶石を発見、有田やその周辺で本格的な磁器生産が始まりました。

技術の研鑽で発展

有田で17世紀半ばに色絵(※2)(赤絵)の技法が取り入れられました。乳白色の素地に、余白を生かして鮮やかな絵の具で絵付けした「柿右衛門(かきえもん)様式」、金を使った豪華な「金襴手(きんらんで)様式」など独自の色絵が誕生。また、佐賀藩鍋島家は伊万里大川内山に藩窯を置き、技術や意匠にこだわった献上品を製造。染付(※3)の藍に赤、緑、黄の色絵を施した「色鍋島」、染付で文様を描いた「鍋島染付」、釉薬(※4)を厚くかけた青緑色の「鍋島青磁」が生まれました。

日本の磁器ブランドへ

有田周辺で焼かれた磁器は、主に伊万里港から出荷され、国内では「伊万里焼」とも呼ばれました。一部は東南アジアやヨーロッパへ輸出され、ヨーロッパ王侯貴族を魅了し、マイセンなどの磁器生産にも影響を与えました。江戸時代のものは「古伊万里」と呼び、今も貴重視されています。

※1磁器と陶器の違いは主に原料。磁器は石もの(陶石を砕いた石由来の粘土)、陶器は土もの(土由来の粘土)。
※2色絵とは磁器の表面に絵の具で彩色する技法。
※3染付とは白地に呉須(ごす)と呼ばれる顔料で藍色の絵付けをする技法。
※4釉薬(ゆうやく)とは陶磁器の表面に光沢を出すガラス質の溶液。



畑萬陶苑

400年以上にわたり「やきもの文化」が受け継がれてきた、唐津、伊万里、武雄、嬉野、有田、佐世保(三川内)、平戸、波佐見から成り立ちます。個性豊かな窯元が揃い、陶器市などイベントも多く開催されています。

▶︎日本遺産「日本磁器のふるさと 肥前」 肥前やきもの園公式サイト https://hizen400.jp/


伊万里特集に合わせて、
近辺の3地区のやきものを紹介します。

伊万里鍋島焼
佐賀県伊万里市

佐賀藩鍋島家は藩窯を有田から伊万里大川内山へ移し、技法の流出がないよう厳重な監視下で将軍家への献上品や贈答品などを焼かせた。
色鍋島、鍋島染付、鍋島青磁の大きく3つに分けられ、高い品質と技法が引き継がれている。

伊万里鍋島焼

▲ 伊万里市大川内山の鍋島焼

風鈴まつり

▲ 涼やかな音色が響く「風鈴まつり」の大川内山

有田焼
佐賀県有田町

金ヶ江三兵衛らが有田町泉山で磁器の原料となる陶石を発見し、日本初の本格的な磁器生産地となった。
以後400年にわたり、白磁、青磁、染付、色絵など伝統技法を継承し、食器から美術工芸品まで幅広く生産されている。

有田焼

▲ 白く美しい磁肌と華やかな絵付けの有田焼

トンバイ塀

▲ 登り窯に用いたレンガの廃材などを赤土で固めた「トンバイ塀」

波佐見焼
長崎県波佐見町

巨大な登り窯により大量生産を可能にしたことで、磁器を庶民の器として普及させた。江戸時代から今日に至るまで、日本の食文化を支え、時代にマッチした器が作られている。

波佐見焼

▲ 生活を彩るモダンな器が人気の波佐見焼

世界の窯広場

▲ 世界の珍しい窯が再現されている「世界の窯広場」

-主なやきものイベント-

伊万里市

春の窯元市(4月第一週の金・土・日)
伊万里やきものまつり(4月29日〜5月5日)
風鈴まつり(6月中旬〜8月下旬)
鍋島藩窯秋まつり(11月1日〜5日)

有田町

有田陶器市(4月29日〜5月5日)
秋の有田陶磁器祭り(11月下旬)
有田ちゃわん祭り(11月下旬)

波佐見町

波佐見陶器まつり(4月29日〜5月5日)
桜陶祭(4月第一週土・日)
中尾山秋陶まつり(10月下旬土日)

そのほか肥前やきもの園の嬉野市、唐津市、武雄市、佐世保市でもやきものイベントがあります。

観光のお問い合わせ

▶︎ 伊万里市観光協会

http://imari-kankou.com/

▶︎ 有田観光協会

https://www.arita.jp/

▶︎ 波佐見町観光協会

http://hasami-kankou.jp/

※やきものイベントについて
中止または延期、オンライン開催など内容変更となる場合があります。現地の観光協会などに確認の上お出かけください。

伊万里 グルメ

ブランド牛の伊万里牛と伝統の伊万里焼がコラボ。
重箱御膳または陶彩弁当の取扱店では
ジューシーな伊万里牛メニューが楽しめます。

伊万里牛ステーキ重

▲ 伊万里牛ステーキ重 2,650円

伊万里牛ハンバーグステーキ

▲ 伊万里牛ハンバーグステーキ 1,750円

昭和38年創業、江戸時代や明治期の古陶磁など、こだわりの器でお料理やスイーツがいただける喫茶店です。

伊万里 ロジエ TEL : 0955-23-3289

伊万里はフルーツ王国です。
加工品もいろいろ揃っていました!
夏・秋のフルーツ狩りシーズンにもぜひ。

伊万里はフルーツ王国です

▲ 葛氷(マスカット)200円(前田餅屋)
梅サイダー 200円(伊万里市農業組合)

国道202号線沿いにある道の駅。伊万里牛の直売所があり、地元の農産物・加工品が充実。

伊万里ふるさと村 TEL : 0955-24-2252

編集後記

編集後記

日本を代表する磁器の郷・伊万里を訪ねた今回の「いいものみっけ」はいかがでしたか?大川内山には映画の一場面を切り取ったかのような光景が広がり、まさに“秘窯の里”という呼び名がピッタリでした。伊万里焼の歴史を知ることで、今後目にする伊万里焼への思い入れが変わりそうです。やきものだけでなく、自然やグルメなど魅力あふれる伊万里。お出かけの際は、あちこち寄り道しながら散策してみてくださいね。

スタッフ 古本